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痩身のアピールポイント

激しい運動や重すぎる体によって軟骨を磨耗させてしまうと、人生の後半を苦しい思いですごすしかなりなってしまう。
障害が進行すれば、関節に強い痛みがでたり、水(溶出液)がたまったくするようになる。し
かし病院では対症療法が行われるだけで、関節をもとどおりにすることはできない。それどころか、ときには強い薬の副作用で体調をくずしてしまう人さえいる。
変形性膝関節症は閉経後の女性に多いことから、機械的な磨耗だけが原因でなく、ホルモンなどもかかわっているものと思われる。いずれにしても肥満を解消すれば、ひざの負担も軽減し、症状は改善していく。
さらに肥満は、骨租しょう症にも深い関係がある。
骨粧しょう症には二つの種類があって、閉経後の女性に多いタイプと、老人性骨租しょう症とよばれるタイプに分けられる。前者は、女性ホルモンの欠乏によっておこり、比較的若いころからカルシウムの減少がはじまる。骨を再生する能力がまだのこっているため、程度は軽い。
骨折の部位にも特徴があり、特に手首に多い。転倒したはずみについた手で体重をささえきれず、骨折してしまうのである。中には両手首を二度ずつ骨折したという女性もいたくする。
一方、老人性骨租しょう症は、七〇歳以降くらいから骨折が目立つようになる。カルシウムが減少し、しかも骨を再生する能力も失われているため、重症になくやすい。下肢の太い骨(大腿骨)をおったりする。
骨折の重症度は、肥満と大いに関係がある。転倒した際、骨にかかる衝撃が体重に比例するからである。昔から欧米では、太った人の骨租しょう症にともなう骨折は重症になりやすく、恐れられてきた。体が重いことに加えて床が硬く、ベッドから転落すると、その衝撃で全身の弱った骨がバラバラになったりするからである。
その点、日本人には高度の肥満が少ないことと、畳に布団をしいて寝るという生活様式から、重症の骨折はそれほど多くなかった。しかし肥満者がふえ、生活様式も大きくかわった現在、骨折の重症度も欧米化しつつある。
ともかく知りたいのは、「太っていると長生きができないのか」という問いに対する答えであろう。
この間題については研究者の意見も千差万別で、ある研究では、体重と寿命はまったく無関係とし、別の調査では、体重が重くなるにつれ死亡率も加速度的に高くなると結論している。
もっとも多い意見は、やせすぎても太くすぎても寿命は短くなるので、長生きするほどの体重を保つのがよいというものである。
また、タバコを吸っているか、アルコールはどれくらい飲んでいるか、運動を日常的にやっているかなどの生活習慣も大きく関係している。
一股に、太っている人ほど、体が重いせいで運動不足になっているのではないだろうか。もしそうなら、肥満そのものよくも運動不足が健康を害していることになる。また高齢者では、さまざまな病気をかかえている人も多い。病気によって寿命も大きく異なるため、肥満の影響だけを単独で調べるのはいっそう難しくなる。
このような困難さを克服し、事実を見きわめるには、用意周到な計画がいる。幸い、四万名ものボランティアを集め、体重と寿命との関係を一〇年間にわたって調べたという意欲的な研究がアメリカにある。対象は男性の医療従事者で、歯科医、獣医、薬剤師、整骨医などであった。
調査は、基本的にアンケート票を郵送して調べるという方法で行われた。調査項目は生活習慣をはじめ、病歴、体重、ウエストとヒップの周囲長など多岐にわたった。調査期間中に死亡した人については、家族、役所などからデータをえたという。
アンケートという手段は日常的にもよく用いられるが、対象者が多くなるにつれ、細かな配慮もいきとどかなくなり、ずさんなものになってしまうことが多い。しかしこの調査では、用意周到な計画のもとにデータが集められ、厳密な分析が行われたようである。
まずウエスト周囲長を正確に測定してもらうために、四万人のボランティア仝貞に特製のメジャーと説明書を事前に配布した。アンケート回収後は、無作為に何名かを選び、専任のスタッフが直接面会して同じ測定を行ったのだという。自己申告されたデータが、ほんとうに正しかったかをチェックしたのである。
さらにアンケートの回答にもとづき、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、がん、腎臓病、肺疾患、
血栓症などの病歴のある人、現在治療中の人を分析の対象から除外した。また極端にやせている人も、すでに重い病気にかかっている可能性があるという理由で、対象からはずしている。
正確を期すために最近五年間の体重変化を調べ、四・五キログラム(一〇ポンド)以上やせた人を除外したのである。
こうして集めたデータに対し、多変量解析という手法で分析が行われたが、結果はBMI二
四前後の人がもっとも長生きしていた、というものだった。縦軸は死亡率である。両端は、それぞれBMIが二一未満、および三〇以上の人々をまとめて表示してある。
この結果は、かなり意外である。BMIが二四前後となるのは、たとえば身長一六〇センチメートルの人で、体重が六一キログラムの場合である。従来の常識からいえば、肥満の部類に入ってしまう。
やせすぎの人たちで寿命が短くなっているのは、結核など慢性肺疾患の人の割合がいくぶん高かったためだ。
まとめると、肥満は確かに体に悪いが、やせすぎよりは.「ちょっと太めぐらいが一番、長生きする!」という結論になる。
この調査では、ほかにも興味深いことがいろいろわかった。
まず死亡原因であるが、圧倒的に関係が深かったのは、やはり心臓病と動脈硬化症だった。
またボランティアが自分ではかったデータと、専任スタッフがチェックのために再測定した結果との比較でも、興味深いことがわかった。
二種類の方法でえたデータが一致するかどうかを判定するには、相関係数という指標が使われる。この指標を使って両者をくらべたところ、それぞれ体重が〇・九七、ウエスト周園長が〇・九五となることがわかった。つまり自己申告した値はかなり正確だったのである。
一方、ヒップ周囲長では〇・八八と低い値にしかならず、ウエスト・ヒップ比にいたっては、ヒップ周囲長は、測定者によるばらつきが大きく、あてにならない指標であることがわかったのである。
「ウエスト・ヒップ比は役にたたない」という話をすでにしたが、その理由がこんなところにあったことになる。ヒップ周囲長をはかるのは、確かに誰にとっても難しい。はかるべき位置がはっきりしないし、メジャーの締め加減にもばらつきがでてしまう。結局、健康指標としては使えないのである。
ともかく、肥満を放置することによって、さまざまな健康上の問題がおきていくのは間違いない。
さて、いよいよ具体的にやせる方法を考えてみたい。
やせるための方法については、これまで無数の研究が行われてきたが、その一連の研究成果からわかったことが二つある。一つは、方法にかかわらず短期間で無理にやせようとすると、体調が悪くなるなどの反動がおき、失敗してしまうということ。もう一つは長い年月を要する方法では途中で脱落してしまい、成功しないということである。
どちらも、いわれてみれば当然の話である。しかし当然であるからこそ、やせるのは、やはり難しいことだったのである。そこで、やせる方法の数々を検証していくことにする。
最初は、運動についてである。

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